新社会人が実家に住んでいるうちにしておくべきこと

大学生、あるいは高校生のうちから下宿を始めている人がいる一方で、学校を卒業して就職するタイミングになって初めて親元を離れて一人暮らしを始める人も少なくありません。そんな新社会人が、新たに下宿を始める前に、実家にいる間にしておくべきことがあります。

世の中の大抵のことはお金があるかどうかの問題になりますが、お金ではどうにも解決できないのが本人確認、特に住所の確認が必要な手続きです。運転免許証や健康保険証、あるいはマイナンバーカードで身分証明を行う人が多いと思いますが、引っ越してしまうとこれらの書類の住所変更をしなければ、新しい住所に自分が住んでいるということを証明できません。これらの変更は実際に引っ越してから行うことになるので、どうしても時間がかかってしまいます。

具体的には以下のような手続きを、実家にいる間に、また社会人になる前の時間があるうちに、やっておくといいでしょう。蛇足ですが、引っ越しをしたら基本的には住民票の変更が必要になる、ということも覚えておいてください。

1. 銀行口座の開設

銀行口座、持っていますか。自分で作ったことはなくても、親が作ってくれた口座がある、という人も多いかと思います。しかし、本当に今ある口座だけでいいのか、今一度確認しましょう。

口座を開くには、当然住所のわかる身分証明証が必要ですし、ネットで口座開設を申し込んでも実際に口座を開く店舗にキャッシュカードを取りに行く必要があったり、あるいは郵送だとしても「本人限定受取郵便」で送られてくることが多いので、引っ越してからだと何かと面倒です。必要であれば早いうちに作ってしまいましょう。

次のようなポイントを踏まえて、どこの銀行に口座を開くか考えましょう。

①勤め先の事情

勤め先によっては、給与受け取りに特定の銀行や特定の支店を会社から指定される場合があります。これは会社にとっては振込手数料の経費削減になるので、ある意味で仕方のないことです。法的にどうなのかはさておき、拒否してトラブルを起こすよりも、素直に指示に従ったほうがいいと思います。

②物理的なアクセスの良さとATMの時間外手数料

勤め先や下宿の近くに店舗やATMがある銀行を選びましょう。大抵の銀行は他の銀行やコンビニのATMと提携しているので入出金が可能ですが、ATMの利用に手数料を取られたり、無料で使える回数が決まっています。あまり頻繁にお金を出し入れする習慣はどうかとも思いますが、回数を気にせずに手数料無料で使えるに越したことはありません。

また、多くの銀行で時間外(平日8:45~18:00以外)だと自行のATMでも手数料を取られる場合があります。仕事があると時間内に銀行に行けるとは限りませんので、ATMの時間外手数料が無料か、あるいは何らかの条件を達成すれば無料になるか、を確認しておいたほうがいいです。

ゆうちょ銀行が最強

ゆうちょ銀行は店舗数・ATM数も圧倒的ですが、ゆうちょのキャッシュカードでゆうちょのATMを使う場合の手数料は時間内時間外に限らず常に無料なので、最強と言えます。

メガバンクの中では三井住友と三菱UFJが簡単

簡単な条件を達成することで時間外手数料が無料になる銀行もあります。例えば、筆者は三井住友銀行と三菱UFJ銀行の口座を持っていますが、三井住友銀行にはSMBCポイントパック、三菱UFJ銀行にはスーパー普通預金(メインバンク プラス)というサービスがあり、この2つの銀行は「Web通帳」/「Eco通帳」を利用(要するに、紙の通帳を発行してもらわず、ATMではキャッシュカードのみを使い、取引明細はネットで確認)するだけで、時間外手数料が無料になります。両行ともスマホのアプリから口座の開設ができ、口座を開設する支店を選択することができます。アプリから口座を作ると通常自動的にこの時間外手数料無料の条件を満たす契約になるのではないかと思います。

他の銀行でも、給与の受け取りをしたり、あるいは預金残高が一定以上になることで、時間外手数料が無料になる場合があるので、口座を開設する前に調べておきましょう。

③コンビニATM手数料無料

出先で急に現金が必要になることがあると思います。そんなときに便利なコンビニATMですが、できる限り手数料無料でお金をおろせるようにしておきたいものです。

三井住友銀行は3回までコンビニATM無料

②で紹介した三井住友銀行は、SMBCポイントパックの条件(Web通帳の利用)を達成すると、コンビニATM(イーネットATM・ローソン銀行ATM・セブン銀行ATM)の手数料が3回まで、時間内・時間外ともに無料になります。一方で、同じく②で紹介した三菱UFJ銀行は、給与受け取りなどの条件を達成しないとコンビニATMの利用料無料回数がつきません。この点では三井住友銀行に軍配が上がりますね。

ジャパンネット銀行は何回でもコンビニATM無料

ジャパンネット銀行は日本で最初にできたネット銀行です。実店舗がないという点で、②の目的では使えません。しかし、実店舗がないというマイナス点を上回る、大きなメリットがあります。それは、3万円以上の入出金であれば、コンビニATM(イーネットATM・ローソン銀行ATM・セブン銀行ATM)に加えて三井住友銀行ゆうちょ銀行のATMまで、何回でもATM利用手数料が無料になることです。これだけ無料の対象となるATMが多ければ、ATMを探すのに困ることはありませんね。

ジャパンネット銀行には、他行の給与受取口座から毎月定額を振込手数料無料で移すことができる定額自動入金サービスがあるので、これをうまく活用するといいと思います。また、三井住友銀行とジャパンネット銀行の間であれば、定額自動入金サービスを使わなくても、本人名義の口座間での振込手数料が無料になるので、メインバンクが三井住友銀行であればジャパンネット銀行を使わない手はないでしょう。

④振込手数料無料

通常なら1回当たり数百円の他行宛(あるいは同行他支店宛)の振込手数料ですが、年間で考えると結構な額になってしまうことに気づくと思います。この振込手数料は、一部のネット銀行で無料にすることができます。

住信SBIネット銀行は3回まで振込手数料無料

住信SBIネット銀行はネット銀行の中で最も預金を集めている銀行です。住信SBIネット銀行のスマートプログラムでは利用状況によってランクが決まり、ランク1でも月1回、ランク2を達成すると月3回まで振込手数料が無料になります。このランク2の条件の一つに「30歳未満」があるので、30歳未満の人であれば無条件に振込手数料が月3回まで無料になります。30歳以上の人であっても、「SBIハイブリッド預金」と「外貨預金」に残高を数円入れておけばランク2を達成できるので、難しくはないと思います(SBIハイブリッド預金をするにはSBI証券の口座を開設する必要があります)。

ただし、ランク2ではATMの引き出しは月5回までしか無料にならないので、メインの銀行としては使いづらい点に注意が必要です。

なお、住信SBIネット銀行にもジャパンネット銀行と同じように、定額自動入金のサービスがあります。そもそも預け入れに関しては金額に限らず手数料無料なので、それほどありがたみはないかもしれません。

楽天カードや楽天証券を利用するなら、楽天銀行で給与を受け取るといいかも

楽天銀行にも、手数料優遇プログラムがありますが、はっきり言って低ランクのATM手数料と振込手数料の無料回数がしょぼいです。一番下のランクだとなんと1回も無料で使えません。

ただし、楽天銀行で給与受取をするならそれだけで振込手数料が月3回まで無料になります。楽天銀行で給与受け取りをして、他のネット銀行の「定額自動入金」サービスで楽天銀行の口座からお金を汲み出してもいいかもしれません。

楽天カードを使っている人なら、楽天カードの引き落としを楽天銀行の口座に設定しておくと、楽天市場での買い物でポイント還元が1%アップになるのでメリットが大きいです。

また、楽天銀行の口座を開設するなら、一緒に楽天証券の口座も開いておいたほうがいいです。マネーブリッジというサービスに登録するだけで、普通預金の金利が0.10%になります。メガバンクの普通預金は0.001%、ゆうちょ銀行の定期預金でも0.01%しかないことを考えると、普通預金で0.10%は非常に高い水準だということがわかると思います。このマレーブリッジは、楽天証券に口座を開設して楽天銀行の口座と連携するだけでいいので、色気を出して自ら株や投資信託への投資を始めたりしない限り、1円も損失が出ることはありません。

ちなみに、楽天証券で投資を始めるなら、つみたてNISAで毎日2〜3種類の投資信託を100円ずつ購入して楽天銀行から引き落とすように設定しておくと、約20[営業日]×2〜3[回]の取引が毎月自動的に行われることになるので、それだけでハッピープログラムのスーパーVIP(取引30件以上)を達成できるという裏技があります。

2. クレジットカードの作成

まともな社会人になれば、あとでいくらでも豪華なクレジットカードを作れると思います。しかし、入社してすぐの、しかも下宿を初めてすぐというのは、カードの審査が非常に厳しくなる可能性があります(勤続年数、居住年数、というのをカードの申込みの際に書かされることが多いです)。それに比べると、学生というしっかりした身分があって、しかも家族と同居しているうちにカードを作ってしまう方が、審査が楽になるのは火を見るよりも明らかでしょう。カードがいつ必要になるかわからないので、まだ持っていなければ最低1枚は作っておいたほうがいいと思います。

ただ、実際問題としては、クレジットカードが必要な場面の大半は、銀行などが発行するVisaデビットカードで代用できますので、もしも作れなくても深刻に考える必要はありません。

3. 証券口座の開設

今すぐに証券取引を始めるつもりはなくても、「名前しか知らないけどいつかiDeCoやNISAをやってみるかも」とか「株で儲けるつもりはないけど株主優待目的で株を買うかもしれない」という人は、とりあえず口座だけ作っておくといいかもしれません。いざ始めようと思ってから申し込むと、実際に取引ができるまでに時間がかかります。

特に前述の楽天銀行を利用するなら、マネーブリッジで普通預金の金利が0.10%に上がるので、証券取引をするしないに関わらず、楽天証券の口座を開設しておきましょう。

また、証券口座を開く地味なメリットとして、「日経新聞」や「会社四季報」を無料で読めるという点も挙げられます。

なお、何も考えずにとりあえず証券口座を開く場合は、口座の種類は「特定口座」の「源泉徴収あり」を選ぶのが無難です。

4. 仮想通貨とかソーシャルレンディングとか

最初に断っておくと、筆者は仮想通貨にもソーシャルレンディングにも、まだ1円も投資したことがありません。

2018年は特に、両者とも世間からの注目を集めるようになった一方で、多額の被害を伴う問題がいくつも発生し、これらの課題が浮き彫りとなりました。とは言え、今後確実にこれらが廃れるかというと、そうとは言い切れないし、むしろ成長していきそうな気がします。

もしもやってみるなら「資産運用」というよりは「遊び」のつもりで、少額を突っ込むべきだと思いますが、証券口座と同様に、口座だけでも作っておくといいかもしれません。

まとめ

いかがでしたか。結局全部お金関係かよ、って感じですね。お金に関係するものは、犯罪(マネーロンダリングやテロ資金供与)防止のためにいろいろと厳しいのです。銀行口座開設には必須ではありませんが、証券口座や各種投資を始めるにはマイナンバーが必要になります(マイナンバーカードを発行していなくても、通知カード+運転免許証で大丈夫です)。

いろいろ書きましたけど、いちばん大事なのはもちろん銀行口座です。カードがなくても多分生きていけますし、投資なんてむしろしないほうが豊かに生きられそうです。でもお金が下ろせなかったら途端に生活が不安になりますよね。

どこの口座に給与を振り込んでもらって、それをどこの口座に移して、どこの口座からATMで引き出したり、どこの口座から振込をしたりするのか、というのを予め計画しておくことをおすすめします。そうすれば、いざというときに慌てなくても、払わなくていい手数料を払わずに済むからです。そういった当たり前のお金の流れをきちんと確立することが新社会人にとって最も重要だと思います。

それでは新社会人たちよ、ご武運を。

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