TeXで分子構造式を描くパッケージ「chemfig」
分子の構造式をパソコンで入力するのって,とーってもメンドウですよね。特に理系でレポートやペーパーを書くのにTeXをバリバリ使う人なら,構造式を描くのにわざわざマウスを使いたくないはず。
TeXで化学式を描こう
以前から紹介している「TikZ」という図形描画パッケージがありますが,この「TikZ」を内部で描画処理に使用して化学構造式を描く「chemfig」というパッケージがあります。これを使えば,「原子と原子の位置関係」を「文字の大きさや線の太さや原子間の間隔」のような情報と完全に切り離して記述できるので,別の場所での再利用がものすごく容易になります。
ダウンロードとインストール
LinuxやMacでTeXを使っている人はおそらくTeX Liveを利用していますので,chemfigはデフォルトで入っています。別途インストール必要はありません。以下は,WindowsでW32TeXを使っている人のための説明です。
まずCTANのchemfigのページにアクセスします。
上のスクリーンショット(2013年7月21日現在)で赤く囲った枠中にある「Download」というリンクをクリックして,「chemfig.zip」をダウンロードします。
ダウンロードしたzipファイルを展開します。展開してできたフォルダーの中の「chemfig.sty」「chemfig.tex」「t-chemfig.tex」の3ファイルを適切な場所にコピーします。「適切な場所」というのはW32TeXをインストールした場所によって変わりますが,たとえば,W32TeXを「C:\w32tex」というフォルダーにインストールしたのであれば,「C:\w32tex\share\texmf\tex\latex」の中に「chemfig」というフォルダーを作って,「chemfig.sty」「chemfig.tex」「t-chemfig.tex」の3ファイルをそこにコピーしてください。W32TeXのインストール場所が「C:\w32tex」でない場合も,これと同じような位置関係のフォルダーを作ればいいと思います。
ファイルをコピーしただけではTeXのプログラムはそれを認識してくれません。そこで[Win]キー+[R]キーなどで「ファイル名を指定して実行」を開きます。「mktexlsr」と入力して「OK」を押すと,コマンドプロンプトが開いて処理が実行されます。これが終わるとTeXからchemfigパッケージが使えるようになっています。
動作確認
次のサンプルコードをコンパイルしてみてください。
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\documentclass[11pt,a4paper,dvipdfmx]{jsarticle} \usepackage{chemfig} \begin{document} \chemfig{C*6((-H)=N-C*5(-N(-H)-C(-H)=N?)=C?-C(-NH_2)=N-)} \end{document} |
上のようなアデニンが得られたらchemfigパッケージが正しくインストールされています!
残念ながらこのchemfigの情報,日本語ではほとんど見つかりませんね。しかし英語の公式マニュアルがとても充実しています。それほど難しい英語ではなく,サンプルコードとその出力結果の例がたくさん載っているので,多分理解できるとおもいます: chemfig_doc_en.pdf